2013/07/21

「風立ちぬ」をさっそく観てきた【感想】

















スタジオジブリ最新作,「風立ちぬ」を観てきました。

このエントリは多少のネタバレがありますので,未見の方は
要注意。

1.主人公の声優が庵野秀明氏

主人公が成長してからの第一声を聞いたときは違和感がありましたが,
 すぐになれました。ただし演技はお世辞にもうまいとは言えません。

 他の声優陣の演技が素晴らしい分,よけいにそう感じるのかも。


2.作中の人間の声によるSE

僕は飛行機のエンジン音等のSEが人の声である,という予備知識がありましたが,
 知らなければ気付かない方もいるのではないでしょうか。

 関東大震災の際の地鳴り音等はその不気味さがよく表現されていたと思います。
 映像の方も地面が波打つような描写で,地震のエネルギーがうまく描かれて
 いました。

3.現実と夢が交錯しながら話が進んでいく

舞台転換が多く,話のつながりがぶつ切りになっていて,説明も少ないです。

4.ヒロインとの恋愛,結婚

菜穂子との恋愛描写には多少アダルトな表現が。主人公の年齢設定を考えると
 当然ですが。

 結婚式のシーンは素晴らしい。泣けます。黒川夫婦もいい味出してます。

 菜穂子がサナトリウムで雪の舞う寒空の中,外に放り出されたベッドで手紙を
 読むシーンも泣けます。4分のトレイラでもこの部分はグッと来ました。

5.飛行機の開発,戦争の描写

戦争については直接的な描写はありません。飛行機についても九試単座戦闘機の
 開発がメイン。

 










 劇中で本庄が「アバンギャルド」と形容していましたが,調べてみるとホントに
 逆ガルウイングの前衛的な形状(ただし試作1号機のみ)。

 ゼロ戦はラストシーンでその名前と機体がチラっと登場するのみ。
 
「やることはやった。最後は散々だった。1機も戻って来なかった」

 出来上がったゼロは傑作機ではあったけれど、菜穂子の死に目には会えず、作り
 上げたゼロも戻って来なかった。カッツェローニの言うところの「飛行機の夢と呪い」
 が二郎の最後のセリフに集約されています。

6.総評

淡々と物語が進んでいくし,盛り上がるクライマックスがあるわけでもないので,
 娯楽映画としては地味。

 ひたすら堀越二郎の半生を描いている印象。

 ただ,飛行機好き,ミリタリーおたくの宮崎氏らしく,飛行機のメカ描写はすばらしく
 楽しめます。冒頭に登場する二郎の夢の中の飛行機とか。
 
 僕の印象では映画館に足を運んでいた観客の年齢層は高め。おじいちゃんやおばあ
 ちゃんの姿も目立ちました。

 トトロやポニョのように子供向けではないと思いますが,小さいお子さんも是非観て
 おくべき。成長してからきっとその価値がわかると思います。


 直接的な描写が少ない分,解釈が観客に委ねられている部分が多い作品ですが,
 テーマや内容,作品に込められたメッセージ(これは複数あると思う)は素晴らしく
 観てよかった。

 夏休みシーズンだし,何と言ってもジブリの話題作,未見の方は是非。



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